働きながら休暇を取る暮らしを実現する「ワーケーション」。ワーケーションは、在宅勤務やテレワークとは区別されていますが、働き方改革や新型コロナウイルス感染症の流行に伴う「新しい日常」の一環として位置付けられており、近年注目されている勤務スタイルです。
暮らすように旅をしたい方や旅をしながら暮らしたい方に特におすすめの働き方で、観光地やリゾート地、海外など、場所を選ばずに仕事に取り組むことができ、仕事と休暇をバランス良く生活の中に取り入れることができます。
そこで今回は、ワーケーションの概要や事例、実践方法を徹底解説していきます。
ワーケーションとは?
ワーケーション(Workation)とは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、旅先やリゾート地などの好きな場所でテレワーク(リモートワーク)を活用し、働きながら休暇をとる過ごし方のことを指します。
ワーケーションは、ノートパソコンやインターネット等の普及が急速に発展した2000年代に「ワーク・エンゲージメント」が高いアメリカ合衆国で始まったとされています。
日本では、2019年11月に7道県と58市町で構成された「ワーケーション自治体協議会」の設立や、2020年4月に環境省が国立公園・国定公園でのワーケーションを推進する補正予算を盛り込んだりと、近年急速に注目されつつある状況です。
みなさんは、「仕事」と「休暇」を区別して生活をしていますか?多くの方が「YES!」と答えるのではないでしょうか。仕事と休暇は相反するものと考える傾向が強い日本人は、大型連休を取って旅行に出かける人がほとんどでしょう。
しかし、ワーケーションという過ごし方を実現することで、いつでもリゾート地や観光地、海外へ旅に出かけることができ、その場その場で働くことができるのです。日中は仕事をし、仕事を終えたら旅館の露天風呂や美味しい郷土料理、家族みんなで観光スポット巡りをすることもできます。
このように、ワーケーションを取り入れることで、旅をしながら暮らすことが実現可能となり、より有意義な人生を楽しめるのです。
ワーケーションの事例
「仕事をしながら休暇をとる生活が本当に実現可能なの?」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。そんな疑問を解決すべく、ここではワーケーションの導入事例を2つご紹介します。
日本マイクロソフト株式会社
ソフトウェアおよびクラウドサービス、デバイスの営業・マーケティング事業を行う「日本マイクロソフト株式会社」は、1986年に創業しており、従業員数は2400名以上を誇る大手企業です。
日本マイクロソフト株式会社は、ワーケーションを実現している会社であり、「いつでもどこでも活躍できる制度設計」を確立しています。しかし、会社としては「ワーケーション」という制度はなく、色々な場所で色々な人とコラボレーションしながら働くスタイルを自然と実現しているのです。
テレワークの推進企業としても注目されている日本マイクロソフト株式会社ですが、必要があれば会社や現場にも足を運び、効率性および効果、働きやすさを最優先した現代ならではの勤務スタイルを貫き続けています。
ランサーズ株式会社
フリーランス・タレント・プラットフォーム事業を展開する「ランサーズ株式会社」は、2008年の創業時から働く場所に制限を設けておらず、会社で定めているルールさえ守ればワーケーションも可能な会社として注目されています。
ランサーズ株式会社の従業員の多くは「時間と場所にとらわれない働き方」を実現している方が多く、旅先やリゾート地などで、観光やバカンスを楽しみながらの仕事をしています。
また、場所だけでなく働く時間も自由で、日中に仕事をしなければならないのではなく、生活スタイルに合わせて好きな時間に仕事をすることができます。
「世界一周旅行」をしながら働く社員もいるそうですよ。
ワーケーションの実践方法
「ワーケーションを取り入れてみたい」と考えている方もいるかと思いますが、実践するためにはいくつかのポイントを押さえておかなければなりません。
ここでは、ワーケーションを実践する際に大切な2つのポイントをご紹介します。
制度を整える
やみくもにワーケーションを実践してしまっては、企業側や働く側にトラブルや不公平感、不満などの問題が多発してしまいます。そこで、ワーケーションを実践するために必要不可欠となるのが「制度を整える」ことです。
会社へ勤務するのであれば勤怠管理や人事評価は容易に行えますが、ワーケーションになってしまうと企業側と社員側のお互いが見えない状況となり、管理および評価が困難となります。
そのため、「勤怠管理」や「人事評価」制度はしっかりと整えておく必要があります。
環境を整える
ワーケーションを実践していくうえで必要となるのが「テレワーク」。テレワークができない旅先で長期間過ごしていては、何かトラブルや問題が発生した場合に手遅れになることが考えられます。
そのような不具合を発生させないためにも、最低限の環境が整っている場所での仕事を推奨する必要があります。